これまで製品の質や価格とのバランスのみに重きを置いて色々なモノをピックアップし、紹介してきましたが、本日は違う切り口で製品そのものではなく一つの企業を取り上げたいと思います。その企業とは、過去記事(→コスパ高め!レザー仕様の高級感のあるビジネスバッグブランド6選!!!~カッコイイおすすめの革鞄~)にもその名を出しております「BUSINESS LEATHER FACTORY(ビジネスレザーファクトリー)」です。
ビジネスレザーファクトリーとは
ビジネスレザーファクトリーはその名の通りビジネス向けの財布やカバンなどの革製品を驚異的な低価格で提供している会社です。各製品のカラーバリエーションが豊富に用意されているのも特徴的です。
創立は2018年3月と比較的若い会社さんですがすでに北は北海道から南は沖縄まで各地に店舗を構えており、ネット販売にも力をいれるなど勢いを感じさせます。
またエンドユーザーを対象とするだけでなく、法人向けのサービス展開をするなど販路拡大のために色々努力されていることが伺えます。余談ですが、この法人向けサービスというのは、例えば「新入社員に会社の名が刻印されたパスケースを配布したい」などの需要に応えてくれるものです。私事で恐縮ですが、会社からもらったモノで使える物、または使いたいと思わせるモノがあったかと言うとかなり疑問です。でも、革のパスケースとか、名刺入れなんかが配布されたらチョット喜ぶなーと思ったのでした。
ビジネスレザーファクトリーはなぜ安い!?
さて、そんなビジネスレザーファクトリー、略してビジレザの製品の価格をちょっと見てみましょう。
ビジネスレザーファクトリー長財布 (税込)¥9,898
ビジネスレザーファクトリー_ビジネスバッグ(アドバンス)(税込)¥16,999
ビジネスレザーファクトリー_ビジネスシューズ(ウィングチップ)(税込)¥10,999
驚きの低価格です。もっと安いものもあるでしょうがなんてったって本革ですからね。驚かずにはいられません。製品数を絞ってるのかと思いきやラインナップも結構あって、ビジネスシューズに至ってはラバーソール仕様もレザーソール仕様も取り揃えられています。いずれも驚きのプライスの連続ですが、なぜこんなことができるのでしょうか。答えはバングラディシュにありました。
ビジネスレザーファクトリーは全ての製品をバングラディシュで生産しています。素材となる革自体もバングラディシュで集め、現地の自社工場で製造しています。なるほど、物価も安いし人件費も日本よりかからないから安くできるのかっと合点がいきます。
ビジネスの在り方を再定義
早い話が、安いところで仕入れて、必要とされるところで高く売るという商売の基本を忠実に実践しているということです。が、しかし、それだけではありません。ビジネスレザーファクトリーにはある信念、企業理念があったのです。
それは「貧困問題をビジネスで解決する」というもの。
安い物を高く売るを実践する方法として安い労働力を海外に求めるというやり方は以前からあります。ただ、ビジネスレザーファクトリーの目的は安い労働力を得ることではなく、『バングラディシュの貧困問題を解決するために雇用を生み出す』ことがだといいます。もちろん利益が出なければ事業を続けることができないのでしっかり利益についても考えているでしょうが、その利益増も次の雇用を生み出すためのモノとしてとらえているというのですから筋金入りです。
上司から売り上げ目標についてやかましく言われるのも、廊下の蛍光灯を一本外しておくのも全ては会社の利益のためと言っていいでしょう。そしてそのように教育されたワレワレは売ること、コストカットすることを至上と考えがちですが、その利益で「何がどうなるのか」という点にはあまり考えが及んでいない気がします。売り上げを伸ばしたのにボーナスはボチボチでもまぁこんなもんだろうと特に何の根拠もなく片付けてしまうのは所属している会社の理念を理解していないか、それがただの建前でしかないからかもしれません。
話がそれました。多くの企業は社会貢献を理念に入れていますが、ここまで明確にかつプライオリティを高くしている会社を他に知りません。非営利団体の募金による支援とは違い、自立を助け、同時にその果実を利用することで自らも潤い、さらに次の雇用を生み出すというサイクルを構築しているビジネスレザーファクトリーは明らかにこれまでの企業とは一線を画した存在だと思います。
コミュニティをつくる
貧困問題をビジネスで解決することを目的とするビジネスレザーファクトリーが実際にやっていることは徹底していて、例えば雇用するのは他で雇ってもらえなかったような人を雇うことだったり、仕事場でのコミュニケーションを大事にして社員自らが「ファミリーだ」と言えるような環境を作ることだったり、働きやすい環境構築のために託児所を作ったりと、医療を受けられう施設を用意したりと、単なる職場の枠を超えて一つのコミュニティを作ろうとしているように見えます。
うがった見方をすれば安い労働力を囲い込んでいると取ることもできますが、仮にそうだとしても障害のために仕事に就くことができなかった人が雇われ、また子供の世話に追われて困窮していた人が託児所に子を託すことで働くことができ収入を確保でき、なかなか医療を受けることが難しかった人が会社が診療所を用意したことで受けることができるようになるということは非常に有意義で、双方にとってプラスになるならこんなに良いことはありません。ビジネスレザーファクトリーの商売のやり方には近江商人の「売って良し、売られて良し、世間良し」の三方良しの精神が感じられるのは私だけでしょうか。
支援の在り方
仕事帰りに国連WFPのスタッフの方が駅前で啓蒙活動、支援者募集活動をされていました。声をかけられて話を伺ったのですが、彼らは彼らで真剣に貧困による食糧問題の解決を目指して活動してらっしゃって、その熱意には感心しました。非営利か営利目的団体かの違いですが、両者に共通するのは社会問題を解決したいという純粋な善意です。見方によっては独善的と見えるかもしれませんが、そんな独善や偽善が貧困問題の一助となることを考えれば意味のある事ではないかと思います。
国連WFPが人の善意に期待するやり方である一方、ビジネスファクトリーはあくまで商品を提供してその対価を得ることで目的を達成しようとしている点で支援者へのアプローチが違います。国連WFPの方は認知が広がらないと嘆いていらっしゃいましたが、確かに支援をお願いしますと声を張り上げてもなかなか支持を得るのは難しいでしょう。その点、物を売り買いするその行為自体を変えずに消費者が知らずに支援するような形をとっているビジネスファクトリーやり方はうまいと言えるかもしれません。
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