牛や馬、ヒツジやシカなどの革の利用はごく普通で驚くことはありません。猫の革だって三味線のボディに使われたりします。加えて蛇やトカゲ、ワニの革も利用しちゃいます。もはや使えるものは何でも使う!という人類の強い意志を感ぜずにはおれませんが、ナントビックリ魚の革まで使ってしまう時代がやってきたのです。
魚と言って、サメ、エイの革は前から使われているからアレなんですが、今回ご紹介するのはみんな大好きマグロさんと、釣って楽しいブラックバス先生です。
近畿大学×株式会社コードバン
一体全体どこの誰がそんなお魚の皮を革として使ってやろうと考えたのかというと、近畿大学と株式会社コードバンです。近畿大学は世界で初めてマグロの養殖に成功したことで有名で、そのマグロは近大マグロと呼ばれています。株式会社コードバンはTHE WARMTHCRAFTS-MANUFACTUREの名で馬革製品の製造販売を行っている会社で、カバンや財布などを生産しています。
廃棄される近大マグロの皮を有効活用する方法はないか、ということを近大が考え、革専専門の会社コードバンとコラボレーションした結果マグロの皮を革へとなめすことに成功し、それを使って財布を作ってしまったという流れ。簡単に書いていますが、マグロの皮を鞣すのは非常な困難が伴ったそうです。通常、鞣しの段階で何らかの脂を皮に塗布するなどして柔らかさを獲得していきますが、マグロの場合は臭いや強度を確保するために脂の除去が必要になったとのことです。苦労の末にマグロを鞣すことに成功し、財布などの生産に入っていったというわけです。
ブラックバスの登場
マグロの革利用した製品5種類を発売したのが2017年でこれが第一弾。翌年2018年に7種類のラインナップを増やして第二弾が発表されました。PISCINEシリーズとして展開されているこのお魚レザーは中心部に近大マグロの革を配して、縁には馬革を使用することで強度を確保しています。株式会社コードバンはマグロだけに飽き足らず、ブラックバスの皮も使ってやろうぜとばかりにブラックバスの革を使った商品も展開!
マグロもブラックバスも鞣すには高い技術が必要でなかなか大量生産はむずかしいらしいです。取り扱い店舗も以下に限られています。
The Warmthcrafts-Manufacture E-maOsaka -store&carerepair-
〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目12-6 E-ma B1F
生産数も限られていることから手に入れるまでに時間がかかることも。いきなり店にいくよりもまずは電話でモノがあるかどうか確認してから行ってみたほうが良いかもしれません。
琵琶湖をはじめ色々なところでブラックバスは生態系を壊す外来魚として目の敵にされますが、駆逐するのはまず不可能でしょう。駆除のため食用とする方法も模索されたりしましたがいまいちパッとしませんでした。食べたことないけど。完全駆除はむりでも数を減らす一方策として革利用が広がりを見せたらいいのにと思うけど、なかなか難しいでしょうね。
それはともかく、マグロやブラックバスなどを革製品にしようと思ったその発想、そしてそれを実現してしまう技術力、ともに常軌を逸しており(ほめています)、革の新たな可能性が示された端的な一例になるのではと思います。レアものなので持っている人は大事にしてください!