レザージャケット、革ジャンに限らず革製品に魅了される人は少なからず存在します。が、けっしてマジョリティではない。重く、硬く、価格もそれなりに高い革製品の良い部分と言えば、革に対して我々がもつワイルドなイメージが醸すカッコよさだけで、他はデメリットしか感じないかもしれません。
身体にまとう物であることから考えて、負荷のかからない方が楽でイイに決まっているし、重くて硬いのは論外となる。また、時々の流行はまるで一陣の風のようで、アッという間に古臭くなってしまう要素を多分に含んでいるため、次の波に対応するためにもあまりコストを掛けていられないということもある。ファストファッションの広がりによってワンシーズン毎に装いを変えていくことが当たり前のようになった現代において、それでも何故にレザーを選択するのか。その理由を述べていきたいと思います。
- 自分だけの一着になる
- 良い物を知ることができる
- 流行に翻弄されない、無縁である
普通、服はシワができたらアイロン掛けて伸ばそうとするし、色が褪せたり、傷がついたら終わりで捨てるでしょう。でも革ジャンをはじめ、革製品はその性質上、使っているうちにシワができたり、色が褪せてきたり、傷がついたりでその表情が時間とともに変わっていくものなので、猛者たちは「経年変化を楽しむ」、「皮を育てる」などと表現し、これを楽しみます。
この経変変化は、例えば同じタイプの製品でも着用する人の身体や動き、着用頻度によって表情がそれぞれに違うようになるため、他にはない自分だけの一着となり、愛着がますます沸いて手放すことができなくってどんどこ使用することになり、更に深みが増していくというループにはまることになります。
しわや傷、それらを含めて愛用し続けることができるのが大きな魅力であり、レザーを選ぶ大きな理由の一つです。
良い物の定義は様々ですから、一概に革だから良い物とは言えません。が、長く使えるということはそれだけで価値があると言えるでしょう。作りのしっかりした革ジャンは普通に使っていて壊れることはまずありません。仮に裏地に穴が開いた、ファスナーがぶっ壊れたというようなことがあっても、また革自体を損傷したような場合でも腕の確かなリペアショップに持ち込めば直してもらえます。
長く使える理由は、単に革が布に比べてタフだからというだけではなく、むしろもっと大きな理由として「熟練した職人が作っている」というところにあると思います。カドヤのHEAD FACTORYの製品は職人さん一人が一着を縫いあげることを今も続けているそうです。
工場を海外に設けて大量生産することが悪いわけではありません。リーズナブルな商品を提供されることは消費者にとってありがたいことです。が、おのずとその質に差が出るのは明白ではないでしょうか。
長く使えるということは、極端な話、使えなくなるまで替える必要がないことになります。もちろん、気分に合わせて別のジャケットを選択するといったことはあるでしょうが、シーズンごとに買い替えなくてはならないようなことはなくなり、と言うことは余計な出費は減り、かつ何を着るかで迷うことも少なくなるから他の事柄に時間を費やすことができます。「ファッションを楽しみたいのであるから次々新しいものを試したいのであるよ」というような人でなければ、案外これはおいしいポイントになるのではないかと思います。
いかがでしょうか。電化製品でもだいたい10年程度が使用年数です。革製品はそれを大きく越えて使い続けることも可能です。長期的に見ればコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。百聞は一見に如かず。最寄りのお店へ駈け込んで試着してみてください!