水道水の行方

 「湯水のように〇〇を使う」というような表現からしても分かるようにこの日本において、水はまぁなんぼでもありまっせ的なモノであり、ありました。蛇口を捻れば水がジャバジャバ流れ出し、飲んでも浴びても全く問題ないと信じられており、少なくとも飲んだからとて腹が壊れることも、浴びたからとて炎症を起こすなんてことはまず聞いたことがありません。にもかかわらず、昨今ではうぉーたーさーばーというて何故だかわざわざ飲料水として水道水ではない水が販売されることになったのはなんでやろうか。ここんところをちょいと調べてみようかと思います。

水道普及率

 日本における水道事業は明治20年に始まったそうです。西暦でいうと1887年やから、約130年前スタート。横浜、函館で整備されていき、第一次、第二次世界大戦で事業推進がストップしたこともあったけど、その後の高度成長期に一気にインフラが整えられて、2016年には普及率97.9%だとか。関係ないけど道路の舗装率も80%超えてるらしいです。97.9%て、もう100%みたいなもんですわ。そらありがたみを感じないようになってもおかしくはないわけで、雨が降らなくて取水制限でもかからん限り当たり前すぎて「で、なんなん?」ってなりますわな。

水道事業の問題 

 我々がその安全性について一顧だにすることなく、無関心でいられたのは一重にこれを担ってきた地方自治体の水道事業に携わっている方々のお陰。ありがとうございます。が、そんな完全完璧なことが永遠に続くわけもなく、問題が問題として表出してきている。
 どんな問題なのかというと、究極的にはお金(予算)になるわけやけど、早い話が設備の耐震化の遅れ、老朽化。水道事業が始まって約130年ですが、当然随時設備の維持管理は行われ、先に書いた通り普及率は97.%にまでなった。そんな維持管理を担っているのは地方自治体。維持管理費を地域住民から徴収する上下水道代で賄うことになるわけやけれども、水道事業で赤字になってる地方自治体は全体の3割にも及んでいるとのこと。赤字ということはつまりお金が足らんということですから、必要なあれやこれやができない、あるいは困難になることを意味する。例えば水道の耐震化、老朽化した水道管の交換などが後手に回るなど。
 平成28年末時点での水道施設の耐震化の率は以下の通り。

・基幹管路(水道管など)の耐震適合率が38.7%
・浄水施設の耐震化率が27.9%
・配水池の耐震化率が53.3%

出典:厚生労働省報道資料(平成29年12月27日発表)「水道事業における耐震化の状況(平成28 年度)」より

 また、水道管の耐用年数は60年程度らしいので、一気に整備が進んだ高度成長期供えられた部分はぼちぼち換えていかんとよろしくない時期に差し掛かっていることになる。耐震化も交換も金がかかる仕事になることは間違いない。

民営化

 なぜ赤字なのかはその自治体の人口減が大きな理由で、これは暫くと言うか、相当長期に渡って改善せんやろうからどんどこ赤字の自治体は増えるであろうことは想像に難くない。水道事業の維持費を水道料金収入で賄っていることを考えれば、一人当たりの負担率が大きくなってしまうのは否定できない。人はポコポコ増えないしね。否が応でも水道料金の値上げは行われるだろうし、我々サービスを受ける側も従来通りの品質を求めるならばこれに応じなければアカヌであろう。もちろん、徹底して無駄を省き、最小の費用で最大の効果を出すように努めてもらうことが大前提であることは言うまでもあらへんけれども。

 で、具体的にはどないしまんのん?ってなるけれども、それに対する回答の一つが水道事業の民営化であります。2018年に水道法が改正されて、水道事業の民間委託がすでに可能となってるんですな。民間のノウハウを取り入れて効率的な運営をってのが目的。現在のところこれを導入しているのはごく一部の自治体だけで、結果的に良かったのかまずかったのかは分からないけれど、アメリカさんなんかはもう長いこと水道事業の民営化はやってて、フリントって会社の水道水の鉛汚染は問題になってました。映画もあったな。自治体が管理し続けたからといってこのような問題が起こらない保証はないが、利益追求が主命題となる民間企業が生活インフラを担う危うさはある。

 個人が何かできるかってことではないのである意味でどうしようもないけれど、ただ自分が住んでいるところの水道事業を担っているのは誰かということはちょっと気を付けてみたほうがいい。民間だったらまずいということではなく、生命に直結する生活水について誰に管理を委ねているのかくらいは知っておくべきだし、これまで無関心だったけれども注視してまっせという雰囲気が醸成されれば管理する側も気が張るてなもんです。もっとも、人口減による水道料金収入減は避けられんから値上げ必至やけども、まっとうなサービス展開がなされるならば止むを得ないので覚悟はしく必要はあるでしょう。

 以上、簡単に日本の水道水の話でした。

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