無駄を省いて質実剛健であるべきであるのであるよ。という風な風潮があるようなないような気がしなくもない今日この頃です。確かに軽薄なカラーリングはイロモノとしては面白いけれど、長く使用することを考えるとややウルサイ感じが拭えない。せっかくのデザインも革の堅牢さや素材の良さを損なうようであれば残念である。が、しかし、ただただ剛健であれば良いのか?そうとなればどんな会社が作っても同じような物しかできないのではないのか。それではやはりツマラナイ。
そんな革愛好家にしてお洒落に敏感な人々にこれでどうだとちょっと他とは違う解を示すのが【Kiefer neu(キーファーノイ)】です。
キーファーノイってどんなブランド!?
キーファーノイはランドセルで有名な株式会社マツモト手掛けるバッグブランドです。1948年創業の、七十有余年の歴史を持つ同社がいっちょお洒落なカバンでもこさえたろうないけと腕を振るっているわけ。
6年間ほぼ毎日の使用に耐えるランドセルを作るというその技術がランドセル以外のバッグに投入されているわけですからまず縫製の確かさ、強さはまず間違いありません。素材に関してはイタリア植物タンニンなめし革協会が品質保証するベジタブルタンニンレザーが使用されている点からこれまた信用に足るでしょう。が、確かな技術、良い素材を使用しているのは他のさまざまなメーカーも同様で、例えばランドセル製造がはじまりの土屋鞄、江戸時代からの技術を継承するCYPRIS、最高級思考のココマイスターなど枚挙にいとまがありません。では、キーファノイが他とは違う点は一体全体なんだというのか!?
それは「足す」ことで面白さ、楽しさへアプローチするスタイル、つまり遊び心にあります。
《関連記事》
→土屋鞄のウルバーノシリーズ シティートートをレビュー
→土屋鞄のウルバーノシリーズ アーバンブリーフをレビュー
→キプリスの日本伝統技術「漆」を使ったレザーアイテム
→高級感きわまるココマイスター
レザー製品はシンプルに美しまとめるのが正しいとされる傾向にるのは文頭に書いた通り。いわゆる「引きの美学」ってやつがあります。玄人好み。確かに、無駄な装飾はあってもウィークポイントになりがちだし、むしろそんなもんはないほうが武骨だけど美しいみたいなところもあるし、素材と技術の高さに裏打ちされたシンプルなデザインにこそ物の本質的な魅力が宿るという考えは間違いではないと思います。
ただ、キーファノイはこういった「装飾」を無駄として省くのではなく、遊び心ととらえて洒落たデザインを大切にし、「足す」ことを恐れていません。そしてただ足すのではなく、考え抜かれたプラスのデザインは他とは一線を画すも主張しすぎることはなく、見事なバランスを実現しています。
余談ですが、足して失敗しているのは昨今の国産自動車のデザインだと思います。いらん線が多すぎる。目をギザギザにせんでええねん。とか言ってるとほなお前がやってみろとか怒られるのでこの辺にしとくとします。
Ciaoシリーズ
シンプルになりがち、ならざるを得ないトートバッグもキーファノイは実にお洒落に仕上がっています。かと言って奇をてらった感もありません。一番に目に飛び込んでくるのは印象的なボディと縁取りの2トーンカラー。キーファノイと言えばネイビー×キャメルの印象が強くあるのもこのデザイン性の高さゆえでしょう。この他、編み込みの持ち手、敢えてのリベット留めなどちょっと他とは違う独特な感じを楽しむことができます。
ややカジュアルですが、ビジネスシーンに使えないこともないでしょう。最近はどんどんオフィスカジュアルが進んでいるので仕事のアイテムでお洒落してもいいのかもしれません。
その他の定番
アモーレシリーズ
クロコ型押しのアモーレも定番シリーズです。ほんもののクロコか型押しかどちらが良いかと問われればほんまもんのクロコに軍配は上がるでしょうが(価値的に)、気軽に使えるという意味では型押しの方が優れていると言っていいのでは。メンテも爬虫類専用のものを使う必要はないですしね。
Mesh
編み込みを前面に押し出したMeshも素敵です。
外から見えない部分も全てイタリアンレザーが使用されており高級感が感じられます。キーファノイ15周年を記念したモデルで熟練職人が1つ1つ編み上げている生産数が限られたEC販売限定の一品。
この他、ModenaやSottileなどシンプルにまとめられたシリーズも用意されていますが、総じてキーファノイのバッグはデザインが秀逸です。色々ビジネスバッグはみたけれど、シンプルな機能美にプラスアルファで何かが欲しいと思っている人は是非チェックしてみて下さい。
そして忘れてはいけないのがボディバッグ。キーファノイと言えばボディバッグ!これは後日改めてレビューしたいと思います。